左指(2.3.4.)の上げ方

前回は指を「全部上げた状態」と「全部押さえた状態」を繰り返してみました。こちら>>

 

今回は1.2.3.の指を「上げて」みましょう。

 

初心者の皆さんは細くてかたいチェロの弦を「押さえること」ばかり考えていると思いますが、上手に「指を上げる」と降ろすのも正確に、楽になります。


1. 指を「上げる」前に、スタート位置としてまず、指を「全部押さえた状態」を作ってください。

 

 

 

この「全部押さえている状態」が「基本位置⁼ゼロ地点」です。指は曲がり具合をキープしようとしているだけです。とっても楽です。

 

この「基本位置が押さえた状態」は一般的にあまり意識されていませんが、手の小さな人、手にチカラのあまりない人には特に重要な、少ないチカラを目一杯効果的に使うためのコツです。

 

そして、「弦を押さえる」とは前回の説明のとおり、指先で指板を握ったり、腕で弦を指板に押しつけたりするのではなく、斜め懸垂の要領で、胸と左手で楽器を挟み込むようにします。詳しくはこちら>>

  

次にここから、左指全部(1.2.3.4.)で弦を押さえた状態から、小指の側から1本ずつ指を弦から離していきます。


 2. まず、小指だけを弦から離します。楽譜に、指番号「3」と書いてある状態ですね。(下の写真で示した例は「2」の状態です)

 

  <注意> まだ、「チェロ弾きの手」を作っている段階の初心者の方は、もしも楽譜に「3」と書いてあっても、「1.2.3.」の3本の指を全部使って弦を押さえる癖をつけてくださいね。

 

*** 弦楽器の指の動かし方はピアノでの指の動かし方と少し違います。ピアノではもう鳴らし終わった音の鍵盤からは指を離しますが、弦楽器では「弾き終わった音も指だけは押さえ続けている」ことがよくあります。これは「指に無駄な動きをさせないため」や「余韻を残すため」、「隣り合う音を滑らかにつなぐため」などの理由からです。*** 

 


指を上げるときの大事なポイント】

 

ポイント その1.  

指を何本上げているかに係わらず、左手の平の中の「くぼみ」、手の平に感じる「重みの位置」を意識し、「手のひらで作った壁」と胸とで楽器を挟み込むという基本を忘れないように。 実際に弦に接しているのは指先ですが、「手のひらの中のくぼみ」でチカラを受け止めてください。 

 


ポイント その2.

指を引き上げるのは 各指とも付け根からです。指を下ろして弦を押すときは、指自体はその曲がり具合をキープしたまま、弦の上から打ち下ろすようにしているだけです。 

 

指を付け根から持ち上げるには、手の平のなかに「くぼみ」が必要です。ピアノを弾く時のように手の中に卵を入れているつもりで。 

 

肘が下がっているとこの形がつくれません。しっかり上げましょう。


ポイント その3. 

指は「引き上げたとき」にしんどくて、「下ろすと楽」になります。

指や肘にチカラを入れて弦を指板に押しつけようとすると、指を「引き上げたときが楽」で「下ろして押さえるとしんどい」と、正反対になってしまいます。

 

「下ろす」とほかの指と共に弦の上に「テーブルの脚」のように立って、手のひら(テーブルの天板)をバランスよく支えることができるようになるからです。指を下ろすと左手全体が安定するというイメージです。

 

このとき手のひらと胸とで楽器を挟み込もうとするチカラ(左手の基本位置=ゼロ地点)は「地球(奏者)がテーブル(手のひら)を引っ張る引力」です。引力は何もしていないときでも初めから自然とそこにあります。

 

こちらは悪い例:

 

指板を親指まで総動員して握っています。

人差し指の付け根が親指に触れるほど指自体にチカラが入っています。

 

こうなってしまうと、付け根から指を持ち上げられず、第二関節からペコペコと指先だけを曲げて弦を押さえることになります。

 

手のひらのくぼみもなくなり、楽器を胸の方向に引き寄せるチカラが使えません。指のチカラだけで弦を押さえているので、押さえる指先が痛い割には弦を底まで十分に押すことができず、音もカスカスしています。

 

次回は、左指の中でも特に難しい、「1」の指1本で弦を押さえるとき を練習しましょう。

 

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